自分の経験はどんなに小さくとも百万の他人の経験より値打ちのある財産である

国内独立系投資運用会社のAIJ投資顧問が、企業年金から受託していた資金の9割を消失させた。オリンパスは、巨額の損失を「飛ばし」という手法で10年以上の長期にわたって損失を隠し続け、不正な粉飾会計処理をしていた。大王製紙は、前会長が連結子会社からの巨額の借入金をギャンブルに注ぎ込み、会社法の特別背任容疑で逮捕された。 

企業経営は、様々なリスクにさらされている。近年、内部統制やコンプライアンスが叫ばれるのも経営者からみればリスクを最小化し企業価値を維持しようということであるが、今回のように不祥事が表面化したときの対応でその企業の経営トップの姿勢が曝け出される。 

多くの日本企業の場合、その対応はほめられたものではない。事実を隠し、責任逃れに近い発言に終始する。結果として消費者や投資家の信頼回復に膨大な時間とコストが必要になる。 

この組織の悪い面は、従来型の雇用制度の慣行の中で経営者と従業員が「社内」という“井戸の中”に共生し、「社外」との隔たりができ、社外に対して極めて閉鎖的になることだ。上司・部下という上下関係が強い場合は、集団圧力と同調行動という現象が一段と強められ助長されてしまう。
危機管理対応のまずさは、ここに起因する。外部への対応はトップの姿勢一つで変わるはずだ!
経営者も「大きな反省」、「勇気と真心を持って真実を語ること」が重要ではないだろうか。 

 

翻って、一人ひとりが備えておくべき重要ことは、「外部でも通用する人間になる」ことではないか。世の中に出たら井戸の中だけで威張っているのではなく、大海でも通用する力を磨くことが大切だ。人が飛躍するためには最初から安定を求めるのではなく、不安定な状態でも自分の力で安定させてやろうとする勇気を持ってこそ道も開ける。

もちろん自身で選んだ道には責任が伴う。上手くいかなくても決して人の所為にせず、日々研鑽し自分を磨いてこそ「外部でも通用する人間」に近づく。失敗に負けずに前進することこそ大切である。

現状について「やりがいがあるか」、「やりがいがないか」を判断するのは本人の主観である。自らの「やりがいのなさ」を他人や環境の所為にしている人は多いが、自分自身が自覚しない限り、「やりがいのなさ」なんて存在しない。

職場で鍛えられた経験は極めて貴重である。職場を渡り歩いた視点で会社を強くすることに働く価値と重要性を持って取り組み、外部での経験や知識を総動員して他社のベストプラクティス(真似すべき良い実例)を携えて提案し、そのどこが優れた点で見習うべきか、特に現状を否定して速やかに変更すべきところは何か、“ なぜそう言えるのか ”を論じることができなければならない。新鮮な視点を持つ外部からの人材導入は、その有力な手段の一つとなり得る。

自ら培った経験とネットワークは、組織の活性化や競争力の向上に役立てなくてはならない。

 

自分の経験はどんなに小さくとも百万の他人の経験より値打ちのある財産である
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