いま改めて選挙制度を考える

<政治家は選挙の苦労を通じて自己の政治家としての資質を鍛える。ゼロから出発して支持者を広げ、選挙地盤を固める。この努力を通じて政治家としての強い信念と能力を向上させる。>

 これは、政治塾“森田塾”森田実塾長の「言わねばならぬ」2008.6.8号「政界の深刻な人材不足と政策不足を考える〈1〉」の一節である。

 政治家の質を上げるには、政治に対する信念を持った新人や確固たる政策を持った新党が果敢に臨める状況(制度としての環境)を常につくらなければならないと思う。現行の選挙制度はその進出を拒んでいる。

 政治改革論議の発端となったリクルート事件から既に22年が過ぎたが、「政治とカネ」の問題処理を大義名分に誤った選挙制度改革が行われたのではないかと強く感じる。
現行制度の小選挙区制に関し、当時の期待は、「小選挙区制で政権交代を実現」、「政治資金の透明性確保」であった。しかし、政権交代は実現したものの政治資金については成果を上げていない。自民党長期政権のひずみを許さなかった国民は政権交代だけは達成したが、日本にはなじまない選挙制度によって、政治家そのものと政党の質を著しく腐敗させ、まさに既成政党の劣化をさせたのではないだろうか。いま改めて、現状の自民党や民主党に期待を抱けるのだろうか?

 小選挙区制そのものが、「既成政党優先主義」、「現職優先主義」で既得擁護を醸成し、党の公認を得られれば同党からは原則として他の候補は立たないゆるい競争制度。また、選ぶ側の党執行部の判断によって選挙に出ることすら委ねられている。中選挙区制では、個人の責任で出馬し党執行部よりも実力と個性と素質と可能性を持った候補者にチャンスがあった。試練の場を通じて、懸命のもがきと活力がその後の国政の原動力の源泉となっていた。このまま小選挙区制が続き、選挙の苦労を通じて自己の政治家としての資質を鍛える場にすら立つことができないならば、わが国にとっては不幸な制度である。

 小生が選挙権を手にした28年前、学生秘書として数回選挙を手伝った時代は、いまよりもずっと政治が熱かったと思う。

 早急に一票の格差を是正し、小選挙区制を見直し、新しい選挙制度としての「中選挙区連記制」への移行を希望する。

 今年は、真の 『 有権者の眼力 』 が問われる年となる。